ゼロスポーツの破産について

3月1日に電気自動車(EV)の製造を手掛ける「ゼロスポーツ」社が破産を申し立てるというニュースがありました。(朝日新聞の記事帝国データバンクのリリース

同社は日本郵便に集配車として計1030台のコンバートEVを納入することが決まっており、契約金額は約35億円とされています。大手メーカーではないのにこの契約を結んだことで国内のEVベンチャーの星として期待され、多くの媒体で紹介されてきました。管理人もこちらで紹介した記事で取り上げていたので、このニュースは非常にショックです。

今回はその日本郵便から契約を解除され、7億円もの違約金を請求されたことで破産につながってしまったようです。経緯については、いろいろと報道されていますが、レスポンスのこの記事が最も早く、内容もまとまっていると感じました。

日本郵便に納入するベース車両はスバルの「サンバー」が予定されていましたが、同モデルが2011年度いっぱいで生産終了となるため、先のことを考えてベース車をダイハツの「ハイゼット」に変更し、開発を進めていたとのこと。記事ではゼロ社も郵政も「ベース車両の変更と開発期間延長のため2011年1月と2月納品の次年度繰越に合意した」と書かれています。ところが、日本郵便側には随意契約の条件として実証実験が義務付けられており、ベース車が変更されるとこの条件を満たさないおそれがあることから、日本郵便政側はベース車の変更も、それによる納品の繰越も認めないという通知を出します。それは納品期限のわずか3日前だったようです。

これが事実なら、日本郵便側に非があると思われますが、これに対して日本郵便はこのようなリリースを出しています。一応、全文引用すると「ゼロスポーツ社から、平成22年10月20日、「契約物品の納入不能に関する報告」という文書が届けられ、仕様に定められた車両が納入できなくなったとの報告がありました。その際、他社のボディで納入するとの提案もありました。しかしながら、他社のボディにすることは、新たな開発プロセスで別の車種として開発し、型式認定も新たに取得することになるものであり、全く別の契約であり、契約変更というものではありません。また、納入期限や品質についても何の保証もないため、弊社にとってリスクが大きいと判断し、協議の結果、平成23年1月17日、提案については受け入れられない旨、文書により契約解除の通知をしたものです。」とのこと。

おそらく、書面として残っているものは日本郵便側の言い分どおりなのでしょう。ただ、こんな大きな契約で変更が生じた際に、一方的に文書を送って終わりにするわけはないので、双方の担当者同士では話はついていたものと思われます。レスポンスの記事で「合意した」と書かれているのは、そのためでしょう。この辺はまったくの想像ですが、担当者間で話がついた後「一応、かたち通りに文書も出してください」という話があり、文書を送ったという流れではないでしょうか。また、昨年の10月20日に届いた文書を納品期限の3日前である今年の1月17日まで放置しておくということも、普通なら考えられません。その間も双方の間のやり取りはあったはずです。

この辺りの事情については、Import EVのブログで順次ニュースを追って掲載し、それにコメントも付けているのでわかりやすくまとまっています。特に興味を引くのがこちらの記事のコメント欄。匿名ですが、関係者を名乗る人たちからのコメントが多く寄せられ、双方の内情が暴露されています。(もちろん、コメントをそのまま事実として受け取るわけにはいきませんが)

また、J-CASTニュースにも『EVベンチャー・ゼロスポーツ破たん 「技術力だけで生きられない」裏事情』という記事が出ています。これによると、日本郵便側の業績悪化という背景もあったとのこと。先のレスポンスの記事でも、かんぽの宿の件などで日本郵便が随意契約に対してナーバスになっていたことも指摘されています。こうした事情も加味して見る必要があるかもしれません。

私自身も、このニュースが流れる以前から取材のなかで、日本郵便に対する納品が遅れていること、それはベース車の調達に関する問題が原因であることは耳にしていました。ゼロスポーツは社員約80名の小さな企業ですから、調達力などに難があったのは事実だと思います。また、元は国営で民営化の途上にある日本郵便という会社の特殊性という問題もあるでしょう。どちらか一方を“悪者”に仕立てても何の解決にもならないですし、この経験を先に活かすこともできないと思われます。

世間的に見れば、小さな企業の倒産というだけの話かもしれませんが、ゼロスポーツの中島徳至社長は電気自動車普及協議会の呼びかけ人であり幹事でもあります。同協議会では今月にコンバートEVに関する安全基準を取りまとめて発表する予定。コンバートEVの芽がこれから出そうというタイミングで起こったことでもあり、今後の日本のEV事情にも大きな影響を与えると思われる“事件”だけに、大変興味を持っています。今後もできるだけ取材をしていきたいと思います。

何か情報をご存知の方はshigeアットマートecowheels.jpまでメールにてご連絡いただければ、お話をお伺いさせていただきたいと存じます。また、どれだけの人が興味を持ってくれるかわからないので、掲載してもらえそうな媒体も同時募集したいと思います(笑)。よろしくお願いいたします。

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ゼロスポーツの破産について への1件のコメント

  1. ピンバック: 日本郵便の電動バイクはアディバ製 | ECO Wheels

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